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妄想カウンターバー「ゲルマニウムトランジスタファズフェイス」へようこそ

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二度惚れる男、来生たかお『シルエット・ロマンス』

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シルエット・ロマンス』は1982年4月25日リリースの来生たかおオリジナルとしては12枚目のシングルレコードで、前年大橋純子に提供した曲のセルフカバー。

『気分は逆光線』と両A面扱いだった。

 

1981年11月5日に大橋純子版『シルエット・ロマンス』がリリースされた。

その5日後の11月10日には、来生のとあるオリジナルシングルがリリースされる。

大人気若手女優にも来生との競作として同じ曲が提供され、歌手デビュー曲として11月21日リリース。

主演映画と同タイトルに改題されて大ヒット。

それが『夢の途中』であり『セーラー服と機関銃』であった。

大橋純子の『シルエット・ロマンス』リリースからわずか2週間の間に、たてつづけに来生が作ったあの時代の代表作がリリースされたわけだ。

 

大橋純子の『シルエット・ロマンス』はすぐにはヒットしなかった。

翌年になって徐々にヒットし、大橋純子としては『たそがれマイ・ラブ』と並ぶ代表曲になった。

おそらく『セーラー服と機関銃』の大ヒットに引っ張られたということもあるのだろう。

それだけ来生たかお来生えつこ姉弟の「チーム来生」の作品が世間の注目を浴びていたということだろう。

現在に至るまで多くのシンガーにカバーされ、愛される曲となった。

 

来生の『シルエット・ロマンス』は、大橋のそれよりテンポが速い。

おそらくBPM100ぐらいではないかと思われる。

ネットに上がっている動画では、来生自身の歌唱も、レコーディングのものよりテンポが遅い。

BPM80ぐらいだろうか。

来生版は非常に心地よいテンポで、サビ前からスネアのリムショットでのビートが入り、サビの部分ではシンプルな8ビートが効いている。

当時も聴いていたと思うんだが、今改めて聴いてみて、こんなにテンポが速かったかと驚いた。

やはり大橋版のテンポが頭にこびりついているんだろう。

シンプルな来生の歌い方とソフトな声が、このテンポによくあっている。

 

茜色のシルエット

 

の歌詞の置き方が大橋版とは違う。

バックもシンプルでとても心地よく、楽器そのものの音を楽しめるし、何かホッとするものがある。

 

この曲はサンリオ社の同名恋愛小説レーベル「サンリオ・シルエット・ロマンス」(のちにハーレクインに権利移行、廃刊)のイメージソングであったという理由もあり、そのタイトル通りロマンティックな歌詞になっているのだが、さすがは来生えつこと言わざるを得ない巧みさがある。

 

ああ あなたに恋心ぬすまれて
もっとロマンス 私に仕掛けてきて

 

無意識にイヤリング
気づいたらはずしてた
重なりあう シルエット

 

「ロマンスを仕掛ける」という言葉の使い方は、普通では思いつかない。

「ロマンスがある」「ロマンスを望む」みたいな使い方を普通はするだろう。

ユーミンの「思い出はさすらう」に匹敵する言葉遣いの巧みさを感じる。

そして「重なりあう シルエット」なんていう甘い歌詞を、来生たかおのような、都会的でちょっと線が細く知的な香りのする男性が、あまりビブラートも使わずにシンプルに歌うというのが、逆に色気が際立つ形になって女心をつかむのだ。

ヒットしたあの時代、子供ながらに聴いたのと、大人になってから聴くのとではまた歌詞も違って聞こえるし、あの頃ではわからなかった来生のよさもわかってくる。

 

人生で二度、惚れさせてくれる男性なのだなと思う。