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今夜だから逢えない...クリスマスに降る青い雪を、南国出身の3人がこんなにも絶妙に歌うなんて。

クリスマス時期になると、聴きたくなる曲がある。

BIGINの「Blue Snow」だ。

BIGIN2枚目のシングルで、デビューシングル「恋しくて」よりもオリコンチャートはずっと下だったので、あまり記憶にない人も多いかもしれない。

http://www.teichiku.co.jp/artist/begin/discography/jacket/TEDN-16.jpg

 

この画像でおわかりのように、CDが普及し始めた時代にあった、「8cmCD」というシングル盤での発売だ。

 

BIGINはご存知のとおり、『三宅裕司いかすバンド天国』、通称「イカ天」出身で、FLYING KIDSに続く2代目グランドイカ天キングだった。

初登場で「恋しくて」を披露したときはスタジオの審査員も、視聴者も固まった。

もはや完成されたアーティストで、比嘉栄昇のルックスからは想像できない涼やかなヴォーカルに魅了された。

それが1989年初めで、イカ天は翌年末に終了している。

まあ太く短い番組だったが、インパクトはものすごかった。

私自身も人間椅子LITTLE CREATURES、解散してしまったがBLANKEY JET CITYなど、今も好きなイカ天出身バンドがある。

 

そのイカ天が終わる頃、BIGINのセカンドシングル「Blue Snow」はリリースされた。

1990年12月だ。

記憶違いでなければ、イカ天最終回スペシャル(生放送ではなかったと思う)でBIGINは「Blue Snow」を歌った。

(ちなみにまたまた記憶違いでなければ、審査員がバンドを組んでサンタナの「Black Magic Woman」をカバーした)

 

「Blue Snow」は「ブルース」にかけているんじゃないかと誰しも思うようなマイナー調のブルースだ。

耳で聴いただけなので「たぶん」だけれど、アコギ、エレアコ、エレピ、ボンゴ(カホンじゃないと思うのだけれど...間違ってたらごめんね)、マラカス、タンバリン(ジングル)が使用され、弦はダウンチューニングか、またはアコギが低音弦を多用しているかで、いい具合に歪んでいる。

逆にエレアコはシンプルな音色で、非常にブルージーでいい和音が響いている。

間奏はホーンのようなキーボード音が使用され、口笛が重なっている。

 

窓灯りの消えた街角。

コツコツと響く自分だけの靴音。

ニュースを伝えなくなったターミナルの電光掲示。

クリスマスの喧騒と対照的な孤独と静寂が、街の描写だけで伝わってくる。

街灯だけが明るく光っているのだけれど、そこに映し出される雪が、チンダル現象のようにブルーに染まって見える。

 

Merry X'mas day Merry X'mas day

街灯に 照らされて

Merry X'mas day Merry X'mas day

君に逢えずに 消える Blue Snow

 

Merry X'mas day Merry X'mas day

今夜だから逢えない

Merry X'mas day Merry X'mas day

人知れず 降り続く Blue Snow

 

雪は、大切な人を失った彼自身の投影なのだ。

クリスマスの夜にこんな孤独を感じるなんて、切ない以外の何と言えばいいのか。

今夜だから逢いたい人に、今夜だから逢えない。

消えてなくなりたくなるような想いじゃないか。

そしてこの雪の描写や、雪の持つ独特の世界観が完全に目の前にあるようなリアルさを、雪国出身の私も強く共感するくらい見事に描き切っているのがすごい。

それは歌詞だけで完成されているのではなく、この曲で、このアレンジで、この歌声だから描けているのだ。

南国沖縄出身のBIGINがこれだけ雪のクリスマスの切なさを描けるというのは、驚き以外の何物でもない。

 

発売されて、速攻買って25年近く、毎年この季節になると聴かずにはいられないアートである。

 

Blue Snow

Blue Snow

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